「ハローワークは、仕事を辞めてから行く場所」
私はずっと、そう思っていました。
でも、実際は違いました。
私が初めてハローワークへ行ったのは、退職のおよそ2か月前にあたる1月5日です。12月末まで働いて、1月からは有給消化に入っていたので、お役所の仕事始めの日に合わせて出かけました。在職中といえば、在職中の身でした。
結論から書きます。ハローワーク 退職前の相談は、退職予定の1〜2か月前がおすすめです。
理由は、職業訓練が「1年分のスケジュール」で動いているからです。募集の締め切りと開講日が先に決まっているので、辞めてから動くと、行きたかったコースの締め切りがもう終わっていることがあります。
この記事では、私が退職前にハローワークへ行って「行っておいてよかった」と思った3つの理由を、体験談としてまとめます。
ハローワークは退職前でも相談できる|在職中に行って驚いたこと
ハローワークは、在職中の人でも無料で相談や紹介を受けられます。
私はそれを知らないまま、「まだ辞めていないのに、行っていいのかな」と思いながら出かけました。
窓口では「在職中なんですけど、2月末で退職が決まっているんです」と切り出しました。それで断られることはありませんでした。
いちばん驚いたのは、その場で求職申込み(求職者登録)までできたことです。

在職中なのにできるんですねって、思わず自分から聞いちゃったのよ
在職中でもハローワークに相談でき、求職申込みまでその場でできました。
有給消化の期間が、いちばん動きやすい
ハローワークの開庁時間は、多くが平日の8時30分から17時15分までです。働いている間は、この時間に行くこと自体がむずかしい。それが「辞めてから行く場所」だと思い込んでいた理由でもありました。
私の場合は、1月から有給消化に入っていたので、平日の昼間に動けました。
有給が残っているなら、退職前のハローワーク相談にあてるのは、使い道としてかなり現実的です。
実際にどんな相談をしたのかは、退職前 ハローワーク相談でわかったこと|職業訓練・失業保険の実体験【体験談】にくわしく書いています。
在職中であっても仕事の相談や仕事の紹介を無料で受けることができます|富山労働局
理由1|職業訓練は1年分のスケジュールで動いているから
ここが、いちばんお伝えしたいところです。
私が住んでいる県では、その年に行われる職業訓練のスケジュールが、1年分まとめて一覧になって出ます。私が待っていたときは、4月の終わりごろでした。
どんな内容の訓練が、どこで、いつ開講して、定員は何人で、申し込みの締め切りはいつなのか。それが一度に分かります。
しかも、この一覧はネットで見られます。
職業訓練のスケジュールを先に見ておくと、「この締め切りに間に合わせるには、いつ辞めればいいのか」が逆算できます。
つまり、退職日を決める材料のひとつになる、ということです。
気になるコースを見つけて、そこに向けてハローワークへ相談に行く。そうすると、ぼんやりしていた退職が急に具体的になって、計画的に進められるようになります。
退職日は社会保険料にも関わってきます。月末と月中でどちらがお得かは、退職日 社会保険料の仕組みと月末・月中どちらがお得か【体験談】にまとめています。
私の場合、1月5日に相談に行ったら、興味を持ったコースが3月3日スタートでした。締め切りには間に合っていました。でも、もし「辞めてから行こう」と思っていたら、2月末退職なので、まず間に合わなかったはずです。
ただし、毎年まったく同じコースが行われるとは限りません。去年あったコースが今年はない、ということもあります。
スケジュールは自分で確かめられます
ハローワークインターネットサービスの「職業訓練検索・一覧」で、全国のコースを検索できます。指定できるのは、次のような条件です。
- コース種別(公共職業訓練・求職者支援訓練など)
- エリア(都道府県)
- 想定する分野
- 募集期間(開始日・終了日)
- 訓練期間(1か月以内〜1年以上)
- 開講日(開始日・終了日)
- こだわり条件(短時間訓練・託児サービスなど)
「募集期間」と「開講日」で絞り込めるので、退職日をいつにすればどのコースに間に合うのかが、その場で確かめられます。
公表の時期は都道府県によって違うので、お住まいの地域の一覧がいつ出るのかは、窓口で聞いてみてください。
理由2|退職日が決まっていなくても相談できるから
相談に行った時点で、私の退職日は、まだ正式に決まっていませんでした。
自分の中では2月末のつもりでいたのですが、会社からは「月末か、月末の1日前か、社労士さんに確認しておきますね」と言われたまま、保留になっていたのです。
そのことを窓口で話すと、担当の方から「会社に電話して確認してもいいですか」と聞かれました。
お願いします、と答えると、その場で会社に電話をかけてくださり、「退職予定日は2月28日で合っていますか」という形で確認してくださいました。
おかげで、その場で退職予定日がはっきりしました。
有給消化に入っていたので、明日も会社で顔を合わせる、という気まずさがなかったのも大きかったと思います。ただただ、ありがたい気持ちでした。

退職日が決まっていないから相談できない、と思い込まなくていいのよ
退職日が正式に決まっていなくても相談でき、私の場合はその場ではっきりしました。
思いがけない効果|会社の書類の提出が早まった
その電話のとき、担当の方は退職日の確認だけで終わりませんでした。
会社が出すことになる書類についても、電話口でお尋ねをしてくださったのです。そして「できるだけ早めに出してくださいね」と伝えてくれました。
実際、私の会社の対応は早かったです。あの電話で会社側も意識してくれたからだろうな、といまでも思っています。
退職前に相談しておくと、会社の書類の提出が早まることがあります。
書類が遅れると、その後の手続きがまるごと後ろにずれます。離職票が届いてからの流れは、離職票 届いたら すぐやること|届かない場合の対処法とハローワーク手続き【体験談】にまとめています。
理由3|知らないと検索もできない制度を教えてもらえるから
そもそも知らなければ、検索することもできません。
いまは、調べようと思えばいくらでも調べられる時代です。でも「そういう制度がある」と知らなければ、検索する言葉すら思いつきません。
私が窓口で初めて知ったのは、たとえばこんなことでした。
離職票が届く前でも、職業訓練の申し込みは進められた
これは意外でした。
私は「離職票が届くまでは何も始められない」と思い込んでいたのですが、窓口で「離職票がなくても申し込みはできますよ」と言われ、実際、離職票を待たずに手続きを進められました。
離職票を待っている間に、職業訓練の申し込みは進められました。
※取り扱いはコースやハローワークによって違うことがあるので、ご自身の窓口で確かめてください。
雇用保険を受けられない人にも、別のルートがある
雇用保険の失業保険を受けられない人でも、月10万円の給付金を受けながら、無料の職業訓練を受けられる制度があります。求職者支援制度といいます。
かんたんに言うと、雇用保険に入っていなかった人や、加入していた期間が足りなくて失業保険が出ない人のための仕組みです。
私は失業保険を受けられる立場だったので使いませんでしたが、「雇用保険がないから、私には関係ない」と思っている方にこそ知ってほしいと思いました。
失業保険が出ない人にも、給付金を受けながら訓練を受けられる別のルートがあります。
2025年4月から、学び始めていると「1か月の待ち時間」がなくなった
自己都合で退職すると、失業保険はすぐには出ません。
退職日が2025年(令和7年)4月1日以降なら、7日間の待期のあとに、原則1か月の「給付制限」があります。かんたんに言うと、その1か月は失業保険が出ない期間です。
ところが2025年4月から、決まりが変わりました。
対象になる教育訓練を、離職日の前1年以内に受け始めていた人、または離職後に受けている人は、この給付制限が解除されます。
辞める前に学び始めていれば、辞めたあとの1か月の待ち時間がなくなる、ということです。
対象になるのは、教育訓練給付金の対象となる教育訓練や、公共職業訓練などです。ただし2025年4月1日以降に受け始めたものに限られ、途中でやめた場合は対象になりません。
そして、この解除にはハローワークへの申し出が必要で、申し出の期限もあります。
これこそ、退職前に相談しておかないと間に合わない話です。
令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省
ハローワークは退職の何か月前に行けばいい?
結論は、退職予定の1〜2か月前です。
職業訓練を考えているなら、もう少し前から動けます。年間のスケジュールが出る時期に一覧を見ておくと、そこから退職日を組み立てられるからです。
1〜2か月前と書いたのは、職業訓練を受けるまでに4つの段階があるからです。
- ハローワークで求職申込み・職業相談
- 訓練の受講申込み
- 面接・筆記試験などを受験
- 合格したら受講あっせんを受けて、受講スタート
開講日の直前に動いても間に合いません。締め切り・選考・書類の提出をさかのぼると、1か月以上前から動くことになります。
私の場合も、受講申込書を出したのは退職前でしたし、選考の面接日も退職前に決まっていました。2月28日退職で3月3日開講だったので、手続きはすべて在職中に終えていたことになります。
ハロートレーニングについて知る|ハロトレ特設サイト(厚生労働省)
ハローワーク 退職前の相談に持っていくとよかったもの
相談だけなら、手ぶらでも大丈夫です。ただ、私は次のものを持って行って、あってよかったと思いました。
- 身分証明書(マイナンバーカード)…その場で求職申込みをするとき
- スケジュール帳…開講日や締め切りをその場で書き込む
- メモ帳と筆記用具
- 退職予定日が分かるもの(メモでもOK)

いちばん役に立ったのは、スケジュール帳だったのよ
窓口では「このコースは○月○日締め切り、○月○日開講です」と、日付が次々に出てきます。手元にカレンダーがあると、その場で考えられます。
スケジュール帳があると、締め切りと開講日をその場で退職日と照らし合わせられます。
なお、印鑑は必要ありませんでした。雇用保険の手続きに出す書類は、2020年(令和2年)12月から押印が原則廃止になっています。
失業保険が始まってからの持ち物は、失業認定日 持ち物チェックリスト4点|忘れると困る!当日の流れ【体験談】にまとめています。
職業訓練は思った以上に種類が多い|オンライン受講もある
昔の職業訓練は、事務とパソコンくらいのイメージでした。実際に一覧を見て、驚きました。
- Webデザイン
- 動画制作
- プログラミング
- IT
- 介護
- 簿記会計
- 医療事務
- AI活用
- 不動産
期間も3か月コース、6か月コース、職場実習付きコースなどさまざまです。母子家庭の母などが優先されるコースもありました。
そして、オンラインやeラーニングで受けられるコースもあります。
通学だけでなく在宅で受けられる訓練があり、場合によっては県外のコースを選べることもあります。
私も、住んでいる県に希望のコースがなかったら、リモートで県外の訓練を受けることを考えていました。
訓練を受けている間、失業保険がどうなるのかは、職業訓練 失業保険はどうなる?ハローワークで相談してわかった制度と注意点【体験談】にまとめています。
早く行ったから「待つ」も選べた|3月開講のコースを断った話
ここは、正直に書きます。
3月3日スタートのコースは、締め切りに間に合って、申し込みました。Webデザインとグラフィックデザインを学べるコースです。教室の下見にも行き、ハローワークに書類を出し、自分で教室宛に送る書類も送りました。選考の面接日まで決まっていました。
それなのに、私は面接を受けませんでした。
息子のひとことで、考え直すことになった
ちょうどその頃、息子が遊びに来ていました。
息子はデザインの専門学校を出ているのですが、話をすると、こう言われたのです。
「専門学校に行ったけど、そんなに仕事がないよ。これからますます、それで食べていくのは難しくなると思う」
そしてもうひとつ、こう続けました。
「それより簿記を勉強してくれたら、自分も助かるんだけど」
息子は個人事業主で、事務の仕事もぜんぶひとりでやっています。私が簿記を覚えたら、そこを手伝えるということでした。
親バカですよね。でも、息子の役に立てるならそのほうがいいな、と思ってしまったのです。
それに、そのコースに通ったからといって、必ず就職がスムーズになるわけではない。そう考えたら、気持ちが変わっていました。
これはあくまで息子の見方です。デザインの仕事で活躍されている方はたくさんいます。ただ私にとっては、「自分は何のために訓練を受けるのか」を考え直すきっかけになりました。
申し込んだあとでも、断ることはできました
面接の1〜2週間前に、ダメ元で電話をしました。
ここまで手続きが進んでいて断れるものかどうか、正直わからないまま、こわごわお伝えしました。結果は、大丈夫でした。
申し込みや下見まで済んでいても、受講を辞退することはできました。
もちろん、辞退は早いほうがいいに決まっています。それでも「一度申し込んだら、もう引き返せない」と思い込んで踏み出せずにいるなら、そこは心配しなくていいと思います。
待っている間に、簿記の試験を受けて落ちました
お断りしたあと、私は次の年度のスケジュール一覧が出るのを待つことにしました。
前の年度の一覧に、本当に受けたいコースを見つけていたからです。ただ、毎年同じコースが行われる保証はありません。県内になければ、リモートで県外の訓練を受けることも考えていました。
待っている間、せっかく時間があるのだからと、家で簿記の勉強をして試験を受けてみました。
結果は、不合格です。
余談ですが、正直に書いておきます。何も知らないところから家で自分で勉強しただけでは、一発で受かるものではありませんでした。この経験があったので、あらためて「教えてもらえる場所に行こう」と思えました。
そして次の年度の一覧が出たとき、前の年とほぼ同じコースがありました。いまの訓練校に通えています。
早く動いたから「早く始める」のではなく、「待つ」ほうを選べました。
ただし、待つことには代償もありました
3月3日のコースに行っていれば、自己都合退職でも給付制限を待たずに失業保険が出ていました。お断りしたので、私はそのぶん待つことになりました。
それでも後悔はしていません。
早く情報を持つ意味は、急ぐことではなく、待つかどうかを自分で決められることでした。
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まとめ|ハローワークは退職前に行くほど選択肢が増える
ハローワーク 退職前に行くべき理由を、もう一度3つにまとめます。
- 職業訓練は1年分のスケジュールで動いているから(締め切りから退職日を逆算できる)
- 退職日が決まっていなくても相談できるから(その場ではっきりすることもある)
- 知らないと検索もできない制度を教えてもらえるから
私はずっと「次の仕事が決まってから辞めないといけない」と思っていました。収入が途切れるのが、こわかったからです。
でも実際には、職業訓練も、失業保険も、就職の支援も、思っていたよりたくさんの制度がありました。知らなかっただけで、選択肢はもっとあったのです。
退職前にハローワークへ行くほど、辞めたあとに選べる道は増えます。
※給付の内容や訓練コースは、地域や条件によって異なります。くわしくはご自身のハローワークでご確認ください。

過去の自分に教えてあげたいのよ。
辞めてからじゃなく、辞める前に一度行ってみてって。
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