「個人情報漏えいに関するおわび」。こんな件名のメールが届いたら、あなたはリンクを押してしまいませんか。
2026年9月末から10月にかけて、飲食店のアプリやカーシェアなど、身近なサービスで大きな情報漏えいの公表が相次ぎました。10月7日には、国の個人情報保護委員会も注意を呼びかけています。
漏えいを公表した会社のお知らせには、漏れた情報が、なりすましメールやフィッシング詐欺に悪用されるおそれがあると書かれています。
フィッシング詐欺 見分け方のいちばんの正解は、「見た目で見分けようとがんばらない」ことです。
偽のメールやSMSは、本物そっくりの文面やロゴを使います。見た目だけで区別するのは、もう難しくなっているからです。
リンクは踏まず、公式アプリやブックマークから確認する。このたったひとつの習慣に加えて、Gmailの警告やメールアドレスの分け方、万一のときの相談先をまとめました。
個人情報保護委員会「大規模な漏えい等事案を踏まえた対応について(注意喚起)」の公表

見分ける自信がなくても大丈夫なのよ。押さない習慣をひとつだけ、持って帰ってね
フィッシング詐欺とは?50代のスマホに届きやすい実例3つ
実例1:宅配の不在通知をかたるSMS
フィッシング詐欺は、実在する企業や公的機関をかたったメール・SMSで偽サイトに誘導し、IDやパスワード、カード番号などを盗み取ろうとする手口です。
代表例が、宅配業者をかたる「不在通知」のSMS。
「荷物をお届けしましたが不在でした。こちらからご確認ください」とリンクを押させるのが典型的な流れで、押した先で偽サイトに誘導されたり、不正なアプリをインストールさせられたりする事例が警察庁などから注意喚起されています。
ネット通販をよく使う人ほど「注文したあの荷物かな?」と思ってしまう、心理を突いた手口です。
実例2:銀行やカード会社をかたる「利用停止」メール
もうひとつの代表例が、銀行やクレジットカード会社をかたるメールです。
- 「お客様の口座の利用を一部制限しました」
- 「カードのご利用を確認できませんでした。本人確認をお願いします」
こうした文面でリンクを押させ、本物そっくりの偽ログイン画面でID・パスワード・暗証番号を入力させるのが狙いだと注意喚起されています。
実例3:情報漏えいの「おわび」を装うメール
いま気をつけたいのが、情報漏えいに便乗したメールです。
漏えいの公表があると、実際の会社名や事件を使って、次のような文面のメールが送られることがあります。
- 「個人情報漏えいに関するおわび」
- 「補償金をお支払いします。振込先の口座をご登録ください」
- 「安全のため、パスワードを再設定してください」
やっかいなのは、本物の会社からも、対象の人へメールでお知らせが届くことがある点です。
文面だけでは、本物か偽物か区別できません。
ただ、漏えいを公表した会社のお知らせには「当社からパスワードやクレジットカード番号をお尋ねすることはない」と、はっきり書かれています。
メールの中で入力を求められたら、その時点で手を止めましょう。
共通点は「不安にさせて、急がせる」
実例3つに共通するのは、不安と焦りをつくる仕掛けです。
「24時間以内に手続きしないと利用停止」「本日中にご確認ください」のように、考える時間を与えず、その場でリンクを押させようとするのがフィッシング詐欺の常とう手段です。
急かされたときほど、一呼吸。これだけで引っかかる確率はぐっと下がります。

詐欺の文面は、不安・お得・緊急のどれかで心を揺さぶってくるものなのよ。ドキッとしたときこそ、スマホを一度置くのがいちばんの護身術だわ
フィッシング詐欺 見分け方のチェックポイントと、その限界
昔ながらの見分け方:送信元・URL・日本語の不自然さ
よく紹介される見分け方のチェックポイントは、次の3つです。
- 送信元アドレスが公式のドメイン(会社名の入ったアドレス)と違う
- リンク先URLが公式サイトと微妙に違う(似た文字への置き換えなど)
- 日本語の言い回しがどこか不自然
これらは今でも有効な手がかりで、明らかにおかしいメールはここで気づけます。
ただし今は「見た目では見分けにくい」が現実
フィッシング対策協議会によると、2026年8月に寄せられたフィッシングの報告は82,338件で、前の月より1万6千件あまり増えました。
そのうち約3割は、実在する会社のメールアドレスをそのまま装った「なりすましメール」でした。
送信元のアドレスが本物と同じに見えても、安心はできません。見た目のチェックだけで100%見分けるのは、専門家でも難しくなっているのが実情です。
同じことは、検索して入った通販サイトでも起きています。買う前の30秒で偽サイトを見分ける方法は、偽サイト 見分け方は3つだけ|買う前の30秒で防ぐ通販詐欺で紹介しています。
だからこそ、次の「見分けなくても防げる習慣」が大切になります。
フィッシング対策協議会「2026/08 フィッシング報告状況」
フィッシング詐欺への最強の防御。リンクは踏まず、公式アプリから確認
見分ける自信がなくても大丈夫。守るべき習慣は、たったひとつです。
メールやSMSの中のリンクは押さない。気になったら、公式アプリかブックマークした公式サイトから自分で確認する。
- 宅配の不在通知が来たら → 宅配業者の公式アプリや、手元の伝票・注文履歴の追跡番号から確認
- 銀行やカードの「利用停止」が来たら → 公式アプリを開くか、ブックマークからログインして自分の目でお知らせを確認
- 情報漏えいのおわびや補償のお知らせが来たら → その会社の公式サイトや公式アプリの「お知らせ」から確認
- 本物の用件なら、公式サイトや公式アプリ、マイページにも必ず同じお知らせが出ています
あわせて覚えておきたいのが、警察庁「フィッシング対策」などで繰り返し注意喚起されている原則です。
銀行やカード会社が、メールやSMSで暗証番号・パスワード・カード番号の入力を求めることは基本的にありません。
「入力を求められた時点で疑う」。これを合言葉にしてください。

本物かもしれない、と迷う時間がもったいないのよ。本物なら公式サイトや公式アプリにも同じお知らせが必ずあるから、リンクを押す理由はひとつもないの
フィッシング詐欺の入口を減らす|Gmailの警告と、用途別のメールアドレス
Gmailは危ないメールに警告を出し、迷惑メールへ分けてくれる
私はメールを、スマホのGmailアプリでまとめて見ています。以前はiCloudのメールを使っていましたが、少しずつGmailへ移しているところです。
Gmailにまとめる前にやった、2段階認証などの守りの固め方は、iPhone セキュリティ対策は順番が大事|やった6つと、つまずいた所の記事で紹介しています。
Gmailは、危ないと判断したメールに警告を表示したり、迷惑メールのフォルダへ自動で分けたりしてくれます。
ただ、Googleのヘルプにも「警告が出ていなくても、知らないリンクやファイルは開かないほうが安全」と書かれています。
Gmailの守りは、入口で数を減らしてくれるもの。最後に自分を守るのは、やはり押さない習慣です。
Gmailヘルプ「フィッシング メールを報告する、回避する」
用途ごとにメールアドレスを分けると、偽物に気づきやすい
職業訓練の授業で、就職活動用のメールアドレスを1つ作るように教わりました。クラスのみんなで一緒にGmailで作り、私はアドレスを自分のフルネームにしました。
用途を決めたアドレスは、フィッシング詐欺の見分けにも役立ちます。
たとえば、通販にしか使っていないアドレスに、銀行を名乗るメールが届いたら。銀行に教えていないアドレスに届いた時点で、偽物だと気づけます。
私はGmailを4つ持っていますが、通販用・銀行用のようには分けていませんでした。これを機に見直すつもりです。
アドレスを増やさずに分けたいときは、Gmailの「エイリアス」という使い方が便利です。いつものアドレスの「@」の前に「+」と好きな文字を足すだけで、同じ受信トレイに届きます。
(例)yamada.hanako+shop@gmail.com
新しいアカウントを作る必要はなく、届いたメールの宛先を見れば、どの用途のアドレスに来たのかがひと目でわかります。
注意点として、サイトによっては「+」の入ったアドレスを登録できないことがあります。また、「+」より前は元のアドレスのままなので、元のアドレスを知られたくない登録先には、別のGmailを使うほうが安心です。
就職活動では、会社からのメールがうまく届かなかったこともありました。そのときどうしたかは、職業訓練 就職活動の進め方|修了前に内定した6つのステップ【体験談】の記事に書いています。
Android「Gmail のメール エイリアスを利用しよう!」

アドレスを分けておくと、届いた宛先を見るだけで、これはおかしいって気づけるのよ。迷ったら、やっぱりリンクは押さないのがいちばんね
フィッシング詐欺かも?押してしまった・入力してしまったときは
万一のときも、あわてなくて大丈夫です。段階ごとに整理しておきましょう。
- リンクを押しただけ → 何も入力せずに画面を閉じる。それ以上操作しなければ、すぐに被害につながらないことが多いです
- IDやパスワードを入力してしまった → すぐにそのサービスのパスワードを変更。同じパスワードを使い回している他のサービスも変更する
- カード番号・口座情報を入力してしまった → すぐにカード会社・銀行に連絡して利用停止の相談をする
そのうえで、ひとりで抱え込まず、公的な相談窓口に連絡するのが安心です。
- 警察相談専用電話「#9110」(緊急でない警察相談の全国共通番号)
- 消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センターにつながる)
- 迷惑メール相談センター(怪しいメールの情報提供・相談)
「だまされた自分が恥ずかしい」と思う必要はまったくありません。手口が巧妙なのであって、あなたのせいではないのです。
フィッシング詐欺対策は家族で。親世代にも「リンクは踏まない」を合言葉に
この習慣は、自分だけでなく親世代にこそ伝えたい知識です。
- 「メールやSMSのリンクは押さない。迷ったら押す前に電話して」と伝えておく
- 転送してもらって、家族が代わりに確認する役になる
- 親のスマホに宅配や銀行の公式アプリを一緒に入れておく
「怪しいか自分で判断して」ではなく「迷ったら家族に聞いて」のルールにしておくと、親世代も気軽に相談しやすくなります。
実家の固定電話にかかってくる詐欺の電話については、親を守る固定電話 詐欺対策5選|帰省で確認したい電話機の設定の記事で、電話機の設定からできる対策をまとめています。

詐欺対策って、知識より相談しやすい空気が効くのよ。こんなメール来たんだけど、と気軽に話せる家族の関係が、いちばんのセキュリティね
まとめ
フィッシング詐欺の見分け方と守り方を整理しました。
- 代表的な手口は「宅配の不在通知SMS」「銀行・カード会社をかたる利用停止メール」、そして今気をつけたい「情報漏えいのおわびを装うメール」。共通点は不安にさせて急がせること
- 送信元・URL・日本語のチェックは有効だが、2026年8月の報告の約3割は本物のアドレスを装ったなりすまし。見た目だけで見分けるのは難しい
- 最強の防御はひとつ。リンクは踏まず、公式アプリ・ブックマークから自分で確認する
- Gmailの警告と、用途別のアドレス(エイリアス)で、怪しいメールを入口から減らせる
- 銀行やカード会社がメールで暗証番号やパスワードを求めることは基本的にない
- 万一のときは #9110(警察相談)・188(消費者ホットライン)へ。ひとりで抱え込まない
見分ける目を鍛えるより、「押さない習慣」をひとつ持つほうが、ずっと確実です。
今日から、家族みんなの合言葉にしてくださいね。

詐欺の手口は変わり続けても、リンクは踏まず公式から確認、はずっと使える守り方なのよ。50代の今、身につけておけば一生ものの習慣になるわ
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