親 免許返納は切り出し方が9割|言ってはいけない一言と代わりの足の話

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親 免許返納の話、切り出せないまま帰省を終えたことはありませんか。

車に同乗して、ちょっと心配になる場面があった。

でも「そろそろ運転やめたら」と言えば、喧嘩になるのは目に見えている。

実はこの話、何を言うかより、どの順番で話すかで変わります。

結論から言うと、「運転をやめる話」から入るのではなく、「車がなくても暮らせる目処」を先に一緒に立てる。

運転の話は、そのあとです。

順番を逆にするだけで、親にとってこの話は「奪われる話」ではなく「備える話」に変わるんですね。

この記事では、言ってはいけない一言と、代わりの足の考え方を整理します。

ゆるカメ
ゆるカメ

言い出せないまま何年も経ってしまうのよね。その気持ち、よく分かるわ

「危ないからやめて」がなぜ逆効果なのか

親に免許返納をすすめるとき、一番言ってしまいがちなのが「危ないからやめて」です。

正しいことを言っているのに、なぜ反発されてしまうのでしょうか。

理由は、この一言が親にとって3つのことを同時に否定する言葉になってしまうからです。

  • 運転の腕(何十年も無事故でやってきた自負)
  • 生活手段(買い物・病院・付き合い)
  • 自立している自分(子どもの世話にはならないという矜持)

親にとって免許は「移動手段」であると同時に、「まだ自立している証明」でもあるんですね。

だから正論で運転能力を指摘するほど、「証明」を守ろうとして意固地になってしまう。

これは親の性格の問題ではなく、立場が逆でも同じことが起きるように思います。

自分が70代になって、子どもに「危ないから」と言われたら、素直にうなずける気がしないんですよね。

親の免許返納は「順番の逆転」がカギ

多くの記事は「返納をどう説得するか」を解説しています。

でも、説得しようとしている時点で、話は対決の構図になってしまいます。

そこで、順番を逆にします。

先に「車がなくても暮らせる目処」を一緒に立てる

運転の話をする前に、まず確認したいのは親の生活のほうです。

  • 週に何回、どこへ車で出かけているか(買い物・病院・習い事・友人)
  • そのうち、車でないと行けない場所はどこか
  • バス・タクシー・家族の送迎・宅配で置き換えられるものはどれか

「運転をやめさせる」のではなく、「車が使えなくなった日に備えて、移動の選択肢を一緒に調べておく」というスタンスで話すのがポイントです。

これなら、免許の話を一切しなくても始められます。

「もし入院とかで車が使えなくなったら、買い物どうする?」という聞き方なら、親も答えやすいはずです。

運転の話は、目処が立ったあとで

移動の目処がある程度見えてくると、話の意味が変わります。

「運転をやめる=生活が成り立たなくなる」ではなくなるからです。

代わりの足の目処が立ってはじめて、免許の話は「奪う話」から「切り替えの時期を選ぶ話」になります。

このとき、期限を切って迫らないことも大切です。

「今すぐやめて」ではなく、「80歳になったら」「次の更新のときに」など、親自身が区切りを決められる余白を残す。

自分で決めた区切りなら、親も守りやすいものです。

「次の更新のとき」に何があるかを知っておく

区切りの候補として使いやすいのが、免許の更新です。年齢によって、更新のときにあることが変わります。

  • 70〜74歳 … 高齢者講習
  • 75歳以上 … 認知機能検査+高齢者講習
  • 75歳以上で、過去3年に一定の違反歴がある人 … 運転技能検査。第一種免許で70点以上取れないと更新できません

対象になる違反は、信号無視・速度超過・横断歩行者等妨害・携帯電話使用など11種類です。

そして、対象の人には更新期間が終わる日の6か月前までに通知が届きます。

この通知が、話を始めるのにちょうどいいきっかけになります。「危ないから」と切り出す必要はありません。「通知きた? 何があるのか一緒に見てみようか」から入れます。

警視庁 認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新)

言ってはいけない一言と、言い換えの例

順番を整えても、言葉選びで台無しになることがあります。

避けたいのは、能力の否定・年齢の決めつけ・脅しの3パターンです。

言ってはいけない一言言い換えの例
危ないからやめて最近、運転してて疲れない?
もう歳なんだから私も夜の運転が苦手になってきたよ
事故を起こしてからじゃ遅い車がなくても回る方法、一緒に考えておかない?

共通するのは、「あなたが問題」ではなく「私も一緒に考えたい」という主語の置き換えです。

とくに「私も〜になってきた」と自分の変化から入る言い方なら、親のプライドを傷つけずに済みます。

50代の私たち自身、目や反射神経の変化を感じ始める年代ですから、これは嘘ではないんですよね。

ゆるカメ
ゆるカメ

つい正論から入りたくなるのを、ぐっとこらえるのが一番むずかしいところです

「代わりの足」には何がある?

地域によって事情は大きく違いますが、調べておきたい選択肢はだいたい次の通りです。

①バス・電車などの公共交通

本数が少ない地域でも、病院や買い物の時間に合わせたコミュニティバスが走っていることがあります。

②タクシー

「タクシーは贅沢」と親世代は思いがちですが、車を持ち続ける費用と並べると見え方が変わります。

車の維持費は、1.5Lの普通車で年間およそ22万円、軽自動車でも20〜35万円(自動車税・車検・保険・ガソリン・メンテナンス。駐車場代は別)。

年間24万円なら、月2万円。タクシー1回2,000円として、月に10回乗れる金額です。

一度、親の車の1年分を足してみてください。自動車税の通知、車検の領収書、保険の証券。この3枚を出せば、だいたい出ます。

③自治体の支援制度

免許を返納した人向けに、バス・タクシーの割引や助成を行っている自治体があります。

その入口になるのが運転経歴証明書です。手数料1,150円、免許が失効してから5年以内なら申請できます。

これは有効期限のない身分証明書として使えます。「免許を返したら身分証がなくなる」と心配する親御さんは多いのですが、ここは置き換えられます。

もうひとつ、知っておいてほしいことがあります。自主返納した人だけでなく、更新せずに失効させてしまった場合でも、失効から5年以内なら申請できます。

「返納手続きをしていないからもう取れない」と思い込んで誰も教えてくれないまま、5年が過ぎてしまうことがあります。5年を過ぎると、いかなる理由でも発行されません。

ただし、次の場合は申請できません。認知機能検査などで免許が取り消しになった場合、免許の一部だけを返納した場合、違反や事故で停止・取消し処分を受けている場合です。

この証明書を見せると割引が受けられる自治体があります。中身は自治体ごとにまったく違うので、返納を決める前に窓口で確認しておくのがおすすめです。

④家族の送迎・買い物の宅配

毎週の買い物はネットスーパーや生協の宅配に、月1回の病院は帰省や兄弟の分担に、という組み合わせも現実的です。

大事なのは、どれか1つで全部を置き換えようとせず、用事ごとに組み合わせることだと感じます。

「返す」と「返さない」の間にある選択肢

ここまで返納の話をしてきましたが、実は返すか返さないかの二択ではありません。

サポートカー限定免許という制度があります。令和4年5月の道路交通法の改正でできたもので、運転できる車を「安全運転支援装置つきの普通車」に限る条件を、免許に付けられます。

対象になるのは、衝突被害軽減ブレーキ(対車両・対歩行者)とペダル踏み間違い時加速抑制装置を備えた普通自動車です。後付けの装置は対象になりません。どの車種が対象かは、警察庁のサイトにリストが出ています。

警察庁自身が、これを「高齢運転者に対して中間的な選択肢」と説明しています。

つまり免許は、ある日ゼロになるものではなく、段階を踏めるもの。「まだ運転はするけれど、乗る車は安全なものに限る」という途中の段階を、親に示せます。

一足飛びに返納の話をするより、こちらのほうが切り出しやすいこともあります。

ただし、ここは誤解しやいので先に書いておきます。この条件を付けても、認知機能検査や運転技能検査が免除されたり、楽になったりするわけではありません。

更新のときに何があるかは、あくまで年齢と違反歴で決まります。変わるのは「運転できる車が安全装置つきの車に限られる」ことだけです。

それでも意味があるのは、「安全装置のある車しか運転しない」と自分で決めた区切りを、免許にかたちとして残せるということ。家族が「返納して」と言わなくても、一歩進められる選択肢です。

警察庁 サポートカー限定免許について

返納の手続きや支援制度の内容は、お住まいの自治体によって異なります。詳細は自治体の窓口や警察署でご確認ください。

免許の話に限らず、親と元気なうちに話しておきたいことについては、聞きにくいけど大切。親と話しておくこと7つのチェックリストの記事でも整理しています。

「自分を主語にして切り出す」という同じコツは、詐欺対策の話でも効きます。親を守る固定電話 詐欺対策5選|帰省で確認したい電話機の設定の記事でも紹介しています。

車を手放すと生活費の内訳も変わります。親の介護とお金の話については、親の介護 お金は誰が払う?「親のお金で払う」が原則の理由と今できる準備の記事で詳しく紹介しています。

まとめ

親の免許返納の話は、切り出し方と順番で決まる部分が大きい、という話でした。

  • 「危ないからやめて」は、親の自立の証明ごと否定してしまう一言
  • 先に「車がなくても暮らせる目処」を一緒に立て、運転の話はそのあと
  • 言葉は「あなたが問題」ではなく「私も一緒に考えたい」に置き換える
  • 代わりの足は、バス・タクシー・支援制度・宅配を用事ごとに組み合わせる
  • 「返す/返さない」の間に、サポートカー限定免許という中間の選択肢がある

免許返納は説得するものではなく、親が自分で決められるように、足場を先に整えておくものなのだと思います。

今度の帰省では、免許の話ではなく「買い物どうしてる?」から始めてみませんか。

ゆるカメ
ゆるカメ

急がば回れって、こういうときのための言葉かもしれませんね

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